金属材料について①

目次

金属材料とは

金属材料は鉄鋼金属と非鉄金属に大別されて、それぞれ異なる特性や仕様用途を持つ金属になり使い分けられています。

鉄鋼金属

鉄鋼金属は、鉄と炭素との合金で構成される金属材料であり、非常に広く使用されています。
主成分は鉄(Fe)であり、通常、0.02%から2.1%の炭素が添加されます。他にも合金元素としてマンガン、クロム、ニッケル、モリブデンなどが含まれることがあります。
鉄鋼はその強度と多様な特性から、現代社会で基本的かつ重要な材料となっており、産業の発展において欠かせない存在です。
自動車、建築・建設関連、家電、機械部品、工具などなど幅広いところに使われています。

鉄鋼金属は炭素量、元素量によって、炭素鋼・合金鋼(特殊鋼)・鋳鉄に分けられます。

炭素鋼

炭素鋼(Carbon Steel)は、鉄と炭素の主要な合金成分から構成される鉄鋼金属の一種です。通常、炭素の含有量は0.02%から2.1%までの範囲にあります。この範囲内で炭素の含有量が異なると、性質や特性が変化します。
炭素鋼は、幅広い用途で利用されています。炭素鋼は炭素含有量の変化によって異なる特性を持ち、環境や使用用途により選定されます。

SPC材(冷間圧延鋼材)、SS材(一般構造用圧延鋼材)、S-C材(機械構造用炭素鋼鋼材)、SK材(炭素工具鋼鋼材)
など。

自動車、建築・建設関連、家電、機械部品、工具などなど幅広いところに使われています。

SPCC(冷間圧延鋼板)

SPC(Steel Plate Cold)は、一般的には冷間圧延された鋼板を示します。冷間圧延は、鋼材を常温で圧延するので、これにより均一な寸法となめらかな表面が得られます。SPCは、大きな力が加わる製品には向いていませんが、加柔らかい材料で薄い板材として使われることが多く、板金加工やプレス加工の材料として適しています。

SS材(一般構造用圧延鋼材)

SS材(一般構造用圧延鋼材)は、建築や橋梁、機械製造、自動車産業など、さまざまな分野で広く使用される汎用が高く構造用で利用される鋼材です。JIS規格でよく使用されるているのはSS400になります。

一般構造用圧延鋼材は、その汎用性と強度を活かして、建築や製造業において幅広く利用されています。適切な形状や特性の鋼材を選定することで、仕様目的に最適な材料になります。

S-C材(機械構造用炭素鋼鋼材)

S-C材(機械構造用炭素鋼鋼材)は、機械構造や歯車、シャフトなどの機械部品に使用される炭素鋼です。一般的に、機械構造用炭素鋼は、十分な強度や耐久性、加工性を備えています。さまざまな機械の構造部品に適しています。
また、S-C材はSS材などと比較して炭素量が多いため、焼入れで強度・硬度を高くすることができる材料になります。

SK材(炭素工具鋼鋼材)

SK材(炭素工具鋼鋼材)は、炭素(Carbon)を主成分とし、さらに合金元素を添加して作られた工具類に適した鋼材です。耐摩耗性、硬度、耐熱性などに優れ、焼入れも可能で、工具製造や刃物、農機具部品、自動車用部品などに使用されます。

合金鋼(特殊鋼)

合金鋼(Alloy Steel)は、炭素鋼をベースに加えて他の元素が合金を形成する鉄鋼です。合金鋼は、通常、その特性を向上させるために異なる金属や非金属の元素を添加して製造されます。これにより、鋼の強度、硬度、耐摩耗性、耐食性などが向上し、特定の用途に適した材料となります。
五大元素の炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄に加えて、その他の元素のクロム、ニッケル、モリブデン、コバルトなどを添加して合金鋼が出来ます。

合金鋼(特殊鋼)は、ステンレス鋼・合金工具鋼・高速度工具鋼・超硬合金鋼・ハイテン鋼・クロムモリブデン鋼などがあります。

ステンレス鋼

ステンレス鋼(SUS)は、合金鋼の中でもよく使われる材料になります。鉄鋼素材の五大元素に、クロムとニッケルを加えた合金で、耐食性や耐摩耗性が特長的な材料です。ステンレス鋼は一般的に、クロム、ニッケルの他にモリブデン、マンガン、および他の合金元素を含んでいます。これらの成分の組み合わせにより、ステンレス鋼は錆びにくく汚れにくい、高い強度と耐摩耗性を持っています。

食品関連(食器、キッチン器具など)、医療機器(手術用具、医療装置など)、建築(手すり、屋根材、外装など)、化学工業(タンク、パイプ、バルブなど)、自動車産業(排気システム、車体部品など)などで使用されています。
ステンレス鋼はその優れた特性から、広範な用途に使用されています。特に食品関連や医療分野ではその高い耐食性と衛生性が求められ、建築分野や自動車産業でも広く採用されています。

合金工具鋼

合金工具鋼(Alloy Tool Steel)は、主に工具や刃物の製造に使用される鋼材で、その特性を向上させるために合金元素が添加されています。この合金工具鋼は、通常、高い硬度、強度、耐摩耗性、および耐熱性を持っています。異なる合金成分の組み合わせによって、特定の用途に適した性能が得られます。
炭素工具鋼鋼材(SK材)に、クロム、タングステンなどを添加して、さらに硬度や耐摩耗性、耐熱性を向上させた材料です。

合金工具鋼は、その特性により切削や成形などの工具製造において広く使用されています。異なる合金成分の組み合わせや熱処理によって、特定の用途に最適な性能を持つ鋼材を製造することが可能です。製造業や金属加工業界において、高い性能が求められる工具や刃物に利用されています。

高速度工具鋼

高速度工具鋼(ハイス鋼)は、主に高速で回転する切削工具や刃物の製造に使用される特殊な鋼材です。この鋼材は、耐熱性と耐摩耗性に優れており、高速での切削や加工作業に適しています。高速度工具鋼は通常、タングステン、クロム、バナジウム、モリブデンなどの合金元素を組み合わせて性質を調整して製造されます。

高速度工具鋼は、高速での切削や加工が必要な産業の分野で幅広く使用されています。これらの工具は、金属加工、木工、プラスチック加工などで広く応用され、その高い性能により生産性向上が期待されます。熱処理によって特性を調整することが可能で、異なる用途に応じてさまざまなタイプの高速度工具鋼があります。

超硬合金鋼

超硬合金鋼は、極めて硬度を高い合金鋼になります。タングステンカーバイドと呼ばれる超硬質な合金を基にした鋼材です。これは通常、タングステンカーバイドの微粒子がコバルトなどと結合したものです。超硬合金鋼は非常に硬く、耐摩耗性や耐熱性に優れています。

ハイテン鋼(高張力鋼)

「ハイテン鋼」は、高張力鋼とも呼ばれます。これは、通常、一般的な炭素鋼よりも高い引張強度を持つ鋼材を指します。高張力鋼は、その名の通り、引張り強度が高く、同じ断面積の部材でより大きな荷重を支えることができるため、軽量化や強度向上の要求がある構造物や部品の製造に使用されます。
一般的な炭素鋼「SS400」と比較して2倍以上の引張り強度があります。

ハイテン鋼は、特に自動車産業において、車両の軽量化と燃費向上のために重要な材料となっています。また、建築や産業機械など、様々な分野で利用されています。特定の強度や耐久性が求められる場面で、設計上の要求事項を満たすために採用されることがあります。

クロムモリブデン鋼

クロムモリブデン鋼は、クロムとモリブデンを主要な合金元素として含む鋼材です。これらの合金元素の添加により、鋼の特性が向上し、高温での強度や耐摩耗性が向上します。クロムモリブデン鋼は、特に高温での使用や耐摩耗性が求められる環境で広く使用されています。

クロムモリブデン鋼はその特性から、高温や高圧の環境での使用が必要な産業分野で広く使用されています。特にボイラーや圧力容器、石油・化学プラント、自動車製造、航空宇宙産業などで多く使用されています。

鋳鉄

鋳鉄は、鉄と炭素からなる合金です。鋳鉄は、熱で溶かした金属を型に流し込んで鋳造することが一般的であり、様々な形状の製品を生産するのに適しています。鋳鉄はその性質により、構造物や機械部品、調理器具など多岐にわたる用途で利用されています。
自動車部品、機械部品、工業品、水道管、マンホール、調理用の鍋などの材料として使用されています。

白鋳鉄・ねずみ鋳鉄・CV鋳鉄・強靭鋳鉄・ダクタイル鋳鉄・可鍛鋳鉄などがあります。

プラスチック加工・金属加工の試作や生産のご相談

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